健康・医療

「人生100年時代は、健康診断100%へ」健康診断の実施率をランキングで発表した狙い

人生100年時代、生き方・働き方は多様化し、何歳になっても自分らしい生き方を選択できる時代になる。この未来像を実現するためには、必然的に「生涯に渡って健康であること」がセットとなる。そして、健康状態の定期的な振り返り・病気の予防の機会として「健康診断」が重要になってくる。しかし、健康診断の全国的な実施率は「特定健診(メタボ健診)」が53.1%、「特定保健指導」は19.5%と、決して高いとはいえない。(2017年度)

こうした現状に着目した小泉進次郎をはじめとする自民党 厚生労働部会の「国民起点プロジェクトチーム(PT)」は、健康診断の実施率向上を目指し、企業や自治体の特定健診、保健指導の実施率ランキングの発表を行った。

人生100年時代。長く健康であり続けるためには健康診断が重要になる

2016年以来、小泉進次郎を中心とする「2020年以降の経済財政構想小委員会」では、年齢に縛られることなく、仕事や学びや余暇のあり方を選択できる、人生100年時代の社会構想を提言してきた。(参考:財政再建特命委員会2020年以降の経済財政構想小委員会「レールからの解放」より)

そして、何歳でも自分らしい生き方を選び、100年の人生を楽しむためには「より長く健康であり続ける」ことが前提になる。

個人の健康状況を定期的に振り返る機会の1つとして、健康診断があげられる。健康診断は、会社員であれば属する会社の健康保険組合(以下、「健保組合」)によって定期的に実施される。個人事業主などの国民保険加入者も、自治体が実施するものを受診することができる。

また、40歳~74歳までの保険加入者には「特定健診(メタボ健診)」が行われる。「特定健診」は、日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、2008年度から実施されている制度だ。生活習慣病を引き起こす一因となるメタボリックシンドロームとその予備群を減少させることを目的としているため、通称「メタボ健診」とも呼ばれる。

さらに、この「特定健診(メタボ健診)」の結果から生活習慣病の発症リスクが高いと判断された人には「特定保健指導」が行われる。これは、生活習慣の改善によって生活習慣病の予防効果が期待できる人に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すサポートをするものだ。特定保健指導を受けたことで、翌年度には約3割がメタボリックシンドローム該当者および予備群から脱出した、という調査結果もある。(参考:特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ 中間取りまとめ 概要)

特定健診53.1%、保健指導19.5%に留まる実施率。ランキング形式で発表し、意識の底上げを目指す

これほど手厚く整備され、具体的な成果がみられているにも関わらず、2017年度の全国での健康診断実施率は、「特定健診(メタボ健診)」が53.1%、「特定保健指導」は19.5%と低い水準に留まっている。そこで、自民党厚生労働部会の国民起点PTでは実施率の向上に向け、議論を進めた。

まずは、実施率の数値が「総計や健保組合種別の数値」しか公表されていなかった点に着目し、厚生労働省に働きかけを行い、企業や自治体など保険者別の数値の発表を実現した。その上で、

「今回、実施率のランキングを発表したのは、頑張っている企業や自治体を評価し、同時に社会全体の意識の底上げを図っていくためである。そして、誰もが健康診断を受け、いつまでも健康に活躍できる社会をつくっていく。」(記者会見資料より)

との狙いで、ランキング形式での発表を行った。

小泉進次郎Facebookページより
小泉進次郎Facebookページより

また、ランキング発表とあわせて、上位にランクインした企業や自治体には厚生労働大臣からメッセージを贈るとともに、「受診率向上ハンドブック」 を改訂し実施率の向上を目指していくとしている。

「人生100年時代は、健康診断100%へ」

生き方・働き方が多様化していく人生100年時代。何歳になっても自分らしい生き方を選択していくためには、「健康であること」の重要性が増していく。そして、健康管理・予防には健康診断が有効である-

そうした狙いのもと、国民起点PTでは企業や自治体の特定健診、保健指導の実施率ランキングの発表を行った。一見シンプルに思える今回の取組みは、人生100年時代に向けた重要な基盤となっていくだろう。